添う

私の年間本番予定は 圧倒的に伴奏のお仕事がソロより多い。
伴奏といっても、コンツェルトの伴奏のように 完全に縁の下にまわるものや、二重奏のように対等に主張するもの、コンクールやオーディションの付き添い、など様々です。

先週は東京芸大 澤学長の非公開ミニコンサートの伴奏が急遽決まり あわせの日にちも2日前に30分ほどでしたが、あれくらいの先生になると 言葉で打ち合わせなくても弾いてくれたら分かる。
ちょっとの呼吸で どっち向きに音楽を流したいのか一目瞭然ならぬ一耳瞭然。ヴァイオリンなら弓の速さで 管楽器なら息の吸い方で、その人のその日の調子やテンポが掴めます。

問題は まだそこまで力のない学生さんたち。
しかもコンクールともなると 極度に緊張してますから、日頃やらないようなことを平然としてのけます。

伴奏者とは 救急救命のお医者様のようなものだと思います。
その瞬間に的確に冷静に判断しないと命取りになる。
自分だけ気持ちよく奏でても、なんの役にも立ちません。最大限に相手の力を引き出してあげること。ここが一番の力の見せ所です。

……ということは、こちらが万全の体制と、隙のない勉強をしておかないと 事故につながる。


誰かの役に立つ、ということが 自分の存在感の確認にもなっているから 伴奏ってやめられないんですね。
ライフワークです。

今日の合わせはこれでした。


Chie Koga Official Site

ピアニスト 古賀千恵公式サイト

0コメント

  • 1000 / 1000