日本語の神秘

クラシックやってると、日本語とヨーロッパ言語の壁を高く感じます。

主語がなくても通じる日本語。
幼児語、男言葉、女言葉、口語、文語などややこしい日本語。
方言が多種多様な日本語。

そして最大の難所は 総じて平板なアクセントなしの言語であるということ。

これは 音楽のフレーズ作りのときに、結構ネックになる日本語の弊害です。


が。
すごくいいこともある。

まず、表現が細かく豊かなこと。
もちろん英語やドイツ語でも何種類か使い分けできる言葉はあります。
例えば「美しい」と思ったとき。
各々その国によって 3語程度は必ず表現の仕様があるでしょう。

でも日本語は……
美しい、きれいだ、雅やかだ、という外面に装飾的な言葉の他にも かぐわしい美しさ、ほのかに漂う美しさ、心うち震える美しさ、神々しい美しさ……
などなど その内面性を表すに事欠かないほどたくさんの表現ができる。


そして、最大のメリットは ひらがなや漢字に見られる止めはねおさえ。
あれはアルファベットにはありません。

あのリズム(一画めおさえて、そのまま流してはねる、とか)、あれこそピアノを弾くタッチをイメージするときのラインと同じです。
音色を作るときは、指と鍵盤が接触したその直後からの、見えない波動をラインとして捉えると いろんな音が出ます。
そのイメージが直線なら硬い音もできるし、しなるような線なら 柔らかくそして 波打つようにもできる。
「し」の字を書くときと「え」の字を書くときのエネルギーの違いと言えばいいかな。


だから、子供たちのレッスンで、ひらがながいい加減な子には なぜかピアノのレッスンより厳しく注意してしまう私です😅

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