恩返し

昨日 将棋の藤井五段が 相手に勝ち 次戦は師匠である杉本七段に決まりました、というニュースを読みました。


この世界では 弟子が師匠に勝つことを「恩返し」というそうです。
これだけ強くなりました、という実証ですからね。
 

音楽の世界には 師弟でコンクールに出る、なんてことは年齢的にあり得ません。
ですから この「恩返し」は勝負事ではなし得ませんし、仮にあったとしたら……えらい騒ぎになるでしょう。

私は未熟者なので、生徒が私と肩を並べて弾く、という想定もできないし 実際そこまでの生徒を育ててないので なんとも言えませんが、やはり悔しいものなのでしょうか。
嬉しさってないのだろうか……

留学したときの先生は お二方とも「おまえ、こんなところよく弾けるなー、わしには無理だ、あはは」とか、「ほんとに立派なピアニストだ。まだレッスンが必要なのか?」とか 平気で言ってました。
もちろんその反面、譲らないところは徹底して突っ込まれてましたから レッスンはものすごく実り多いものでしたけど。
でも、上から ではなく 横一線で指導してくれてました。
指導、というより ディスカッションかな。
どうしたい?どこがまずい?じゃどうする?と。


だから ご自分の(先生の)弱いところは 私を手放しで誉めるし 得意分野はけちょんけちょんにやられましたが、いつも温かかった。


 日本は出る杭は打たれる式な徒弟制度がまだ厳然と残ってますから なかなか難しいものがあります。


だから、いつの日か私が弾けないものを さささっと弾ける生徒が出てきたら……
恩返し、と心底思える私になりたいし 私も弾けるようになりたい。

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